これまでG7等主要国の平均が約15%だったので、「5%下げた」(後退した)と思われるのがイヤだっただろうか。
ゼロか続けるかのどちらかしかないと思っていたので、10%と発表されたときは若干意外だった。
ただいずれにせよアメリカの物価は上がり、ひいては関税政策が批判され、長く続けばデモや暴動に発展し、トランプ政権に良い結果をもたらすことはない。
そもそも関税とは、物価や通貨の安い国から大量に商品が流入し、自国製品の価格競争力が弱まり、その結果製造業が倒産し自国産業が衰退することを防ぐためにある。
すなわち内外価格調整弁のような機能。
そこで「トランプ関税」政策は、まず最初にフェンタニル流入抑制という体で中国に高額な関税を課した。
確かに中国製品は安い。
そして課税対象国を全世界に拡げた。
結果として、アメリカ向け輸出は多少減ったかもしれないが、トランプ大統領が自らの手柄とする関税収入数十兆円は、関税が課されてもアメリカが輸入し続けたからこそ得られた税金。輸入しなきゃ課税されない税金だから。
では、なぜそこまでしてアメリカは外国製品の輸入を続けるのか。
もちろん自国生産品だけでは全てを賄えないというのもあるだろうが、根底にあるのはアメリカと他国との物価差とドル高による為替差がある。
早い話、アメリカ人から見て外国製品は安い。特に日本を含むアジア産。
要は15〜50%くらいの税金を課されても、それでもまだアメリカ人から見たら外国製品の方が安いということ。
この数年、日本が訪日外国人数の過去最高値を更新し続けているのも極度の円安によって「日本は何でも安い」と評判だから。桜が綺麗だからじゃない。
皆が日本に来て爆買いしていく。
特にアメリカ人が日本に落としていく金額は全体比として大きい。
それは当然。
アメリカ人にとって2万円のものが131ドルである現在と、200ドルだった1ドル=100円時代(2013年頃)と比べると、今50%課税して197ドルになっても当時の金銭感覚で買えることになる。
すなわち50%課税してもまだ12年分の物価上昇を吸収できる安さということ。
※もちろん日本も値上げしていっているので、当時と同じ品質のものが当時の価格で買えるわけではない。
だからトランプ関税政策は、自国民(アメリカ人)への増税でしかない。アメリカ人は関税を課しても外国製品を買い続けるから。アメリカの物価が上がれば上がるほど。
初めから自国民への増税が本来の目的で、それを隠すために外国に課税しているように見せたのであれば見事な策士(もはやペテン師)だが、そうではないのだとすると、トランプ関税政策は順番を誤ったとしか言えない。
為替の調整(ドル高是正)が先。
対日で考えるならば、円安是正が先。
高市総理が円安是正に動かないのはソコだろう。
いくら関税を課されても、この極度の円安下では日本製品がとても安く見えるので、関税による値上がり分を吸収できると考えていると思われる。
※その辺はアメリカ側も当然に察するところなので、密かに事前に擦り合わせが済んでいて別の目的があるのであればそれはまた興味深い。
この静かな攻防はどこか70年代〜の日米貿易摩擦のリメイク版を見るようで面白い。
50年経った今に至るまで貿易不均衡が続いている。