ニューヨーク連邦準備銀行の新たな報告書は、経済学者が長らく警告してきた内容を裏付けている。つまり関税の負担はほぼすべて、それらを課す国の住民が負うということだ。
当たり前じゃないか(笑)。
小学生じゃあるまいし。
輸入する側の国(今回の場合アメリカ)の企業から見て、アメリカが輸入関税をかけたら仕入れ値がその分上がる。
輸入した側の国(アメリカ)の小売店は関税分値上げして販売するので、関税はアメリカの消費者が100%負担する(アメリカの輸入品物価が上がる)。
ココまでは誰でも知ってるし学校で習うことなので、このままでは「関税をかける=自国民を物価高で困らせる」と政策を批判されることになるから、トランプ大統領はいつものごとくあまり賢くない人達(元々のトランプ大統領支持層)を上手く言いくるめるために、関税元払い(すなわちDDP)を前提条件とした。
DDP取引では、輸出する側の国が貿易相手国の輸入関税を先に支払う(元払いする)ため、あたかも輸出国が関税を負担したかのよう見えるので、これを「外国が関税を負担している」と見せかける(子供だまし)の手法。
※「アメリカ市場で販売したくて彼ら(外国企業)は高い関税まで喜んで支払っている」という見せ方。
が、輸出した側はその支払った関税分もコスト(言って見れば輸送費の一部みたいなもの)として輸出価格に上積みするので、結局は輸入する側(アメリカ)の企業ひいてはアメリカの消費者が全額負担することになる。
例としてエルメスはアメリカの販売価格に全額転嫁した。
では、なぜそんなすぐにバレる嘘をつくのかという疑問が残るところだが、トランプ大統領はとりあえず違憲でも違法でも何でもいいから裁判の結果が出る前に先に数字を作りねじ伏せようというやり方で、実際に「アメリカは貿易赤字が圧縮され、関税収入が何十兆円にもなりアメリカは豊かになった」(更には関税収入を国民に還元する(*1))と主張している。
賢くない人はこれに騙され「強いアメリカが戻ってきた」と喜ぶ。
しかし実際にその関税を負担しているのはアメリカの消費者なので、結局のところただの増税でしかない。
(*1)この関税収入増分を国民に分配した場合、確かに「増税」ではなくなるが、せっかく帳簿上赤字を圧縮したのに、再び赤字が元に戻ることを意味し、そこの帳尻はどう合わせるのかという話になる。
が、自国民への増税によって得たお金で「貿易赤字をこれだけ削減した」とトランプ大統領の手柄にしようというセコいやり方なのでたちが悪い。
恐らく、先に数字を作ってしまえば、最高裁も世論的にもこれだけの税収を無下に出来ず判決に(トランプ政権側に有利な)影響を及ぼすだろうという強硬手段かと思う。
もし本当に純粋な税収増なら「そんなやり方もあるのね」と多少なりと考え方に影響を与える可能性はあるが、大統領がただの自国民への増税を自分の手柄にしようとしているとなると、最高裁はむしろ厳しい判断を下すだろうというのが私の見立て。
で、論点となっているのは最高裁判事の過半数がトランプ大統領の息のかかった顔ぶれであるという点であり、アメリカの三権分立が機能しているのかが問われるところ。
普通に考えたらトランプ政権側の敗訴で幕引きとなり(それどころか政権を相手取った訴訟が増える)、「この1年は何だったのか」と民主党支持増で次期大統領選にという流れじゃなかろうか。